黒田総裁の判断は英断だよ(続編)
土曜日の午前中に、そう言い切った続編。
http://obakekabu.net/blog-entry-4166.html
以下の点で私は黒田総裁の英断を支持する
・これは、賃上げへケツの重いトヨタへのケツたたきである。
前に東京五輪大化け株で書いたように、今回のアベノミクス最大の使命は、
「日本経済のデフレ脱却」であり、それには余剰資金による賃上げが欠かせない。
政府与党が産業界に要求している「賃上げ」を
中央銀行も促したことが私は日本経済の未来にとって、最も効果があると期待したい。
・市場が売り浴びせた補完的な緩和がむしろ私はよかったと思っている。
というのは、現在の日本市場に市場が期待していたバズーカ的な追加緩和を打つのは、
今ではないと考えていたからだ。
米利上げが行われた以上、日本は相対的に緩和の意味合いが強まっており、
本格的な追加緩和は次なる窮地に温存しておくべきだ。
これはEUのドラギ総裁のかじ取りと同じとみておいたほうがよい。
こんなタイミングで追加緩和を期待するのは、
給与をもらって運営しているサラリーマン金融関係者の利益から見た
勝手なポジショントークにすぎない
・私は黒田総裁は追加緩和も緩和補完もしないと考えていた。
追加緩和が12月にないと考えていた市場関係者の多くもそうでしょうし、
だからこそ中途半端との声が上がっているのだろう。
しかし、これが政府与党からのプレッシャーに押されてなされたと考えれば、
このアベノミクス相場は実質アベクロ連動相場であり、
来年夏の参院選を控えたアベノミクスの後方支援策として支持したい。
個別の株式を16年4月から売却するものの、
その売却期限を21年9月から26年3月に延長して実質緩和寄りの姿勢にしたことも
よかったと思っている。
・債券市場を中心にあった日銀限界説の払しょくを意図したこと。
より期間の長い国債の買いを対象とすることで大規模な買いを維持、
日本の長期金利の一段の低下期待や
REITに関しても買い入れ上限が発行済投資口の5%から10%に上がれば、
更なる金融相場への期待につながる。
(最も不動産価格は十分に上昇しており、春の賃上げが不発に終われば、
逆にバブル懸念になりかねないが)
・ISMの好不況の分岐点である50を割り込み、商品価格激安の中での米利上げが、
世界経済を不況に追い込む可能性
を皆さんは考えたことがあるだろうか?
もしそうなった場合に、
次のバズーカ緩和を打つための前段の準備として今回の補完は意味のあることだと受け止めている。
その時には、ドラギ総裁が導入したマイナス金利の異次元に日銀も足を踏み入れるかもしれない。
いずれにしても、
今回の金融市場にとっては中途半端な緩和補完措置でも、
実業界・産業界にとっては、来春の「賃上げへのケツたたき」につながると願いたい。
今回の日銀の補完で
政府・日銀一体による実業・産業界へ「賃上げ」の圧力をかけている事が、
最も私が黒田総裁の判断を英断と断言した理由だ。
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